小さな白い手をきゅっと握りしめる奥さん。その手は母のそれにとても似ていた。 「その子、拓郎くんによく似ている。もしもカスミが拓郎くんを思い出してしまったら、きっと傷付きます。」 奥さんも内藤さんも、瞳を微かに潤ませている。 威圧的な眼しか見たことがなかったので、少し驚いた。 そうか、内藤さんは単に傲慢なだけの人ではなかったんだ。 ただ、母を守りたかっただけ。 大事だから。 愛してるから。 僕が母を愛してるように。