―東雲 初音―

甲斐社長の奥様はとても可愛らしい方。余り奥様をあの部屋に長居させないようにしないと。
換気は十分にして、空気清浄機のフィルター交換もしたけど、環境がいいとは言えないし。

「奥様にはカフェオレでよろしいですか?コーヒーはたんぽぽコーヒーですし、お砂糖はてんさい糖、ミルクは粉ミルクを使用しています」
「粉ミルク~?初音…それ赤ん坊に飲ませるやつか?」
「はい、卵や牛乳の類は取りすぎるとお子様がアレルギーになる可能性がございますが、粉ミルクは安心ですから」
「すまんな、気を遣わせて」
「いえ。お躯第一ですので」
「ありがとうございます」
「はい。甲斐社長、奥様が落ち着かれましたら、リラクゼーションルームにご案内させて頂いてもよろしいですか?」
「行きたいです!」
「…すまないな、頼んでもいいか?」
「畏まりました、お任せ下さい」

奥様のカフェオレをステンレスのタンブラーに移して、一緒に副社長を出た。