でもあたしは、上手く夢の世界に溶け込めない。


それはあたしが、本来こんな生活とは無縁だから。


でも、それだけじゃない気がする。


なんだろう…虚しさと悲しさが入り交じったこの気持ち…


考えていたら、ドアをノックする音が聞こえた。


「沙羅ちゃん?
入ってもいいかな?」


弥先輩だった。


「は、はい!」


声が上ずってしまい、恥ずかしくなる。


でも弥先輩は普段と変わらないスマートな動作で部屋に入ってきた。


「…良かった、顔色が良くなってる。」


「ありがとうございます。
良くしていただいて。」


「当然だよ。
それより、昨日の事覚えてる?」


「えっと…実はあんまり覚えてなくて。
勉強会してて、それで…」


駄目だ、思い出せない。


朝は元気だったのに、途中からちょっとフラフラしてた気がする。


でも、本当にそうだったかの自信もない。


「無理に思い出さなくてもいいんだよ。
手紙に書いた通りだし。
ごめんね?
気付けなくて。」


「そんな!
あたしがちゃんと体調管理をしてなかったからで!」


「否…僕が沙羅ちゃんを頼りにしすぎていたせいもあるんだ。
それに、この時期毎年誰か一人は体調を崩すんだ。」


「え?」