「そうだ。
でも一つだけ困った事が。」
そう言って華羅お姉ちゃんは、さっき小金井さんから貰った名刺を三人に見せ、あたしも貰った事や食事に誘われた事を説明した。
「小金井か…
良いんじゃないか。
今から人脈作っておくと後に便利だと思うが。」
聖也先輩は賛成みたいだ。
「でも小金井との人脈なら来年作れますよ。
わざわざパパさんの方じゃなくても。」
「絵恋、小金井家の三女とは同級生でしたよね?」
「そうよ。
雪子ちゃんと私は来年の生徒会入りの予定。」
何やら凄く重要な会話が聞こえてきたが、庶民組の華羅お姉ちゃんとあたしは話についていけなかった。
「それなら小金井の狙いは…娘を宜しくって事ではなさそうだな。」
聖也先輩が腕を組んで考える。
「小金井さんの目的…候補は2つってとこですかね。」
弥先輩が聖也先輩の方を見て苦笑する。
それを見て、絵恋さんが言ったのだ。
「一石二鳥に一票。」
それが全ての答だったようだ。
「2人とも、よく聞くんだ。」
聖也先輩が華羅お姉ちゃんとあたしの顔を交互に見る。
「小金井の目的は二つある。
まず一つ目が青田買いだ。
喋ってみて優秀だったら、大学卒業後にでもうちで働きませんかって事だ。
あとはもう一つは調査だろうな。
平民宰相なんて久しぶり…いや、もしかしたら初めてかもしれないからな。」



