「え?えっと…どちらのと言うのは?」
「どちらの家のお嬢さんですか?という意味ですよ。
失礼ながら、初めて見るお顔でしたので。」
そこであたしはやっと意味が分かった。
あたし、お嬢様と間違われてる。
「初めまして。
私、平井沙羅と申します。
学校の友人…いや、先輩に呼んでいただいたので、今日こちらのパーティーに参加しています。」
「先輩?
差し支えなければ、その方の名前を聞いてもよろしいか?」
「はい。
神埼弥さんです。
高校では生徒会でお世話になっています。」
「なんと!
生徒会の方ですか。
という事は、一般枠の方で生徒会に入られたのですか?」
「はい。」
「という事は、日比谷のお嬢様や玉木のお嬢様、今だったら犬山のお坊ちゃんもいらっしゃいましたね。」
「はい。
皆さんにお世話になっています。」
「そうですか…」
その男性は、何かを考えるように数秒考えこんだ後、あたしに一枚の名刺を差し出した。
あたしは受け取り、書かれた名前を読む。
「小金井 晴哉(コガネイ ハルヤ)さん…
え?」
そこに書かれていた肩書きは“小金井グループ 代表取締役”だった。
色んな事業をやっている会社だ…多分だけど、弥先輩の家とはライバルっぽい。
最近、ファッション関係も調子良いみたいな事も新聞に書いてたから、絵恋さんの家ともライバルかも。



