アパートの裏には、黒くて長い車があった。
「あの…あたしこれから何処行くんですか?
っていうか、貴方誰ですか?」
「これは申し訳ございません。
私は…」
「いいわ。
私が伝える。」
車から女の子が出てきた。
まだ中学生ぐらいだろう。
赤ずきんちゃんみたいな赤いワンピースを着ている。
「初めまして、平井沙羅さん。
急に驚かせてしまってごめんなさい。
私、桜ノ宮絵恋と申します。」
「桜ノ宮…絵恋さん?」
「はい。
彼女は蘭子さん。
私の世話係の女性です。」
蘭子さんと呼ばれた女性が、あたしに向かって再度頭を下げる。
あたしも頭を下げた。
「あの…それで、何の用事でしょうか?
貴方達はあたしの事を知っているんですよね?
あたしは…初対面だと思っているんですけど。」
「ええ。
お会いしたのは今日が初めてです。
…私の名前は聞いた事あるかなと考えましたけど…ご存じないという事は、私の話は聞いた事がないのですね。
それなら余計に意味が分からないとは思いますけど…とりあえず、この車に乗っていただけませんか?
それからでしか、お話できませんの。」
「…何処に行くんですか?」
「…何処に行こうかしら。
実は決めていませんの。
でも心配なさらないで。
貴方を傷つけるような事は致しません。
今日中にご自宅までお送り致しますわ。
お約束致します。
ですから…どうか一緒にドライブにしてくれないでしょうか?」
ドライブ?
誰か分からないけど…こんな車乗ってるし、喋り方お嬢様だし、断ってもまた…
待って…お嬢様って事は…生徒会の誰かの知り合い?



