「菖蒲ちゃん、ありがとう。」


「どういたしまして。
さっき光唆に連絡したから、もうちょっとしたら来ると思うよ。
にしても沙羅ちゃん、凄い囲まれ方だったね。」


「本当にそれ。
もう朝からびっくりしたよ。
まさか復帰してすぐに尋問の遭うとは思わなかった。」


「あはは。
確かに、あれは尋問だよね。」


「まさにね。
菖蒲ちゃんが気を利かせてくれたから助かった!
本当にありがとう!!」


「ううん。
そもそもあたしがミスしなかったら、生徒会は予定通り上演できてたんだもん。
これぐらいしなきゃ。
…でもさ、沙羅ちゃん。
沙羅ちゃん、本当はちょっとキスしちゃったでしょ?」


最後の一言は小声だった。


でもその小声のせいで、あたしの顔は真っ赤になる。


「あれはね、事故!
事故なの、わざとじゃないの!」


「まあ沙羅ちゃんからしたら事故かもしれないけど、神崎さんからしたら故意かもよ?」


「え!
そんなわけないよ!
もう菖蒲ちゃんまでそんな事言わないでよ!」


「ごめんごめん。
でも世の中分からないよ?
沙羅ちゃんからしたわけじゃないのはよく分かったけど。」


「当たり前だよ!」


そんな、あたしから弥先輩に…できるわけない!


「まあまあ。
で、あたしがさっき嘘吐いたけど…既成事実にしてもいい?
あ、既成事実の使い方違うか。」


「既成事実は起こったことに対して使うから…ちょっと違うかな。」


「そっか。
どっちにしても、咄嗟に言っちゃたから、そういう事にしといて!
じゃないと今度はあたしが囲まれちゃう!」


「分かってるよ!
生徒会の皆にはあたしから言っておくね。」


「助かる!」