「馬鹿・・・・・・

なんでもっと早く言わねぇんだよ。」


「ごめん・・・ありがと、茜。」


ヤバイ。

また、視界がぼやけてきた。



茜は、そっと私を離すと「でも」と呟いた。


「ちょっと・・・怪しいな。」


「・・・・・・なにが?」


「羽依の予想が。」


「私の・・・予想?」



ポカンとしてしまった。


だって、予想、って。



「コレ、事実だよ?」


「事実だけど・・・違うかもしれない。」


「は?」



え?


待って、茜、なに言ってるの?




茜は眉間にしわを寄せる。



「いや・・・っつーか、違うだろ。

ほとんどの可能性で。」




・・・駄目だ。

茜、自分の世界に入っちゃった。





茜はなにやらブツブツ呟いた後。

おもむろに立ち上がった。



「ちょっと、事情聴取してくるわ。」


「・・・・・・・・え?」



またもやポカンとした私に、茜は言った。



「次の授業、サボる。」


「へ」


「もの凄い頭痛がしたから、保健室に行ったって、

言っといて。」




茜はそう言い、

もの凄い頭痛がしている人とは絶対に思えない早さで、

どこかへ走っていってしまった。





えっと・・・つまり・・・・・・・

・・・・・・どういうことなの?




私は、茜が去っていったドアを、

呆然と見つめた。