「ねぇ、飯田さん?」


あぁ、恐ろしい・・・。

先輩の猫なで声、恐ろしい・・・。





「・・・・・・は、い?」


ちっこい私は、スラリとした先輩を上目遣いに見る。




「千秋君と付き合ってるんだってぇ?」



ニコニコニコニコ・・・


恐ろしい・・・。

先輩の笑顔、恐ろしい・・・。




「は、い。付き合って、ます・・・。」


先輩を見つめながら言う。



あぁ、なんて弱弱しい声。







「へぇ・・・やっぱ、付き合ってるんだぁ。」



そう言いおえた後、先輩達から、笑顔が消えた。



スッと。


まるで、さっきまでの笑顔は、

幻だったとでもいうように。





ガシャンッ!!!




「調子乗ってんじゃねぇよ。」






先輩の1人が、フェンスを蹴って、言った。


ドスのきいた声で。

私を、ギロリと睨みながら。






他の先輩達も、私を睨む。



・・・冷たい冷たい、鋭い視線の刃。