羽依の顔が歪んだ。


そして、すぐに声がした方・・・羽依の後方に振り返った。



「お母さんの、馬鹿っ!ここでしないでって言ったでしょ!?」




俺は、つんと鼻を突く臭いが強くなったのを感じた。



と同時に、この臭いの正体が解った。


誰がここで何をしてしまったのかも。





「お母さん、大丈夫ですか?」


俺は羽依の後方でうずくまっていた、

羽依のお母さんに声をかけた。




羽依のお母さんは、ついさっき、どうやら吐いてしまったらしい。


吐瀉物(トシャブツ)がお母さんの周りに、溜まっていた。



つんと鼻を突いた嫌な臭いの根源は、

お母さんが吐いたモノタチらしい。





「わぁぁぁぁ!三木先輩っ、見ないでくださいっ!!!」


羽依があわあわと俺とお母さんの間に入る。




本当に、可愛いなぁと思いつつ、俺は言う。



「もう、見ちゃったよ?

でさ、どしたの?お母さん。」



俺がそう言えば、羽依は諦めたようにため息をつく。



「お母さん、二日酔いなんです。


三木先輩が帰ってから、私の制止も聞かずに、

がんがん一升瓶、飲み干しちゃったんです。」



おお、それはそれは・・・



「ワイルドだねぇ。」


「三木先輩、感心してません?」


「うん、してる。超感心した。

すごいねぇ、お母さん。」


「・・・・・・感心するとこじゃないです。」



え?違うの?