嫌な予感・・・というより、嫌な推測が頭を過ぎる。




おそるおそる寝息の聞こえた方を見れば――






「あぁ・・・・・・やっぱり。」


げんなりと呟く。




案の定、お母さんが机に突っ伏して、安らかな寝息をたてていた。







「あれ?お母さん寝ちゃった?」


「はい、どうやらそうらしいです。


・・・お母さーん!

うわぁ、全然起きない。」




ゆさゆさと揺さぶるも、熟睡しているらしく、

まったくもって起きる気配がない。




「すみません、み・・・じゃない、千秋先輩。」


「いいよ、別に。

それより、羽依。」


「はい?」


「これからは、"先輩"も敬語も無しにできるといいね?」


「・・・・・・・/////」


「羽依、可愛いね?

良かった、可愛い羽依が俺のモノで。」







ニッコリと笑ったみ・・・じゃない、千秋先輩は、

少し名残惜しそうに、私の家から出た。





玄関まで送った私に――明日の朝、迎えに来るね、と甘く囁き、


不意打ちの、触れるだけの甘いキスをして。


真っ赤になったであろう私に、優しく笑いかけて。




―――帰っていった。