お父さんはニッコリ微笑むと、

すいっと窓の方に視線を移した。



「・・・・・羽依。」


「うん?」


「この店の名前の意味、解るか?」




このお店の名前の意味・・・?



「解んない。発音さえも。」


正直に答えれば、お父さんは、

どこか遠くを見ながらも、教えてくれた。




「primrose」


「ぷりむろーず?」



あぁ・・・

お父さんの素晴らしい発音の後だから・・・・・


私のカタコトが目立っちゃったよ!






お父さんは苦笑いしながらも、頷いてくれた。



「そうそう。ちょっとアレな発音だけど。」


「そ、そこには触れないで・・・・・」


英語、苦手なんだよぉ・・・。





「ははっ!

桜草(サクラソウ)っていう、花のことだよ。」



笑われたことは、とりあえず置いておいて・・・




「花の名前なんだ。でも、なんで英語?」


「瑞穂、英語ペラペラだったから。」


「・・・・・・え?お母さん?」





なんで、そこでお母さん??



首を傾げれば、お父さんが、そっと私に視線を戻した。








お父さんは、どこか、寂しそうな・・・

でも、とても優しそうな笑顔を浮かべていた。