屋上とか、高い所に行くたびに、空を近くに感じるたびに、いつも思っていた。

もしかしたら、今手を伸ばせば星がつかめるんじゃないかなって。

他人が聞いたら、きっと子供っぽいって笑うかもしれない。

でも、それでも。そう思わずにはいられない。

夜空を見上げて、私は星を掴む仕草をする。

暗闇に伸ばされた手は空気を掴み、それがどうしてかとても虚しくて、私は地面へと視線を落とした。




「やっと笑ったと思ったのに……。今度はどうしちゃったの?」




カシャン、とフェンスが擦れる音がする。

見れば、彼は静かに私を見下ろしていて、その綺麗な瞳と目が合うと私は思わず息を飲んだ。

――……なんて、綺麗な人。

月光のせいもあるのかもしれない。

闇夜に浮かぶ白っぽい髪に、透き通るような白い肌。

伏し目がちなそのスカイブルーの瞳は宝石みたいで、私は視線をそらせずに彼を凝視する。

髪や輪郭に光の粒子を纏った彼は、この世の者とは思えないほど綺麗だった。




「キミ?」



固まったまま動かない私を不思議に思ったんだろう。

青年は小首をかしげる。それを見て、私はハッと我に返った。