まだ一時間は続きそうなそれに、私はため息を一つ零すと立ち上がる。

今日は宿題がいっぱい出たんだ。

もう一時間は聞いたんだから、いい加減にもういいだろう。

何も言わずに立ち上がる私に、両親は鋭い視線を投げかけてきた。



「ちょっと、どこに行くの?」

「部屋」

「まだ話してる途中じゃない」



話し?

不機嫌そうなお母さんの低い声に、笑いがこみあげてくる。

話しって、言った?

一方的に暴言を浴びせ続けることが、話している?

――バカみたい。

私は両親を一瞥すると、そのまま何も言わずに部屋を出ると、階段を上って自分の部屋へ向かう。

ドアを閉めた私は、そのままベッドに飛び込んだ。




「……もう、死にたい」



私に存在価値なんてない。

生きているだけで邪魔で、きっと消えてしまっても誰も悲しまないだろう。

枕に顔をうずめて、私は深く息をついた。

昔は、何度となくこの現実が夢であると思っていた。

どれだけ両親に罵声を浴びせられて涙を流しても、これは夢だから、と何とか今まで持ちこたえて来たけれど、もう、無理だ。

両親の言葉には何も感じない。

でも、どうしてだろう。生きていることが、とても辛いんだ。

河原星雫(カワハラ セナ)という存在が、生きていることがどうしても許せなくて。

ベッドから降りると、私はおもむろに机の引き出しを開ける。

そこにポツンと入っているのは、気づけば書いていた――遺書。

どうしても捨てられなくて、ずっとこの中にしまっていた。

私はそれを取りだすと、机の上に起き階段を下りると家を飛び出した。

向かう場所は……高い高い、星がつかめそうなほど高い場所。