いつの間に、時は流れて。
文化祭の前日。
…検査の日。
「紗葉ちゃん、今日なんの日かわかるわよね。」
「検査の日…ですよね。」
看護師さんが切なそうに笑って私を迎えにきた。
昔から検査の日が大嫌いで。
小学生の頃はいい子になりきってたけどよくその日だけ逃げ出したからか、毎回看護師さんが迎えにくる。
…もう私、高校生なんだけど。
それから看護師さんと一緒に診察室へ移動した。
診察室に入るとお医者さんが1人。
白いヒゲの優しそうなおじさん。
ずっと昔から私の担当医師。
橘田先生…だっけ。
「紗葉ちゃん、よく来たね!また逃げ出しちゃうかと思ったよ。」
そう言って優しく笑う橘田先生。
「さすがにもう高校生なんで。」
苦笑いで返しといた。