「じゃあ、紗葉。またあし…、あ、ごめん。じゃあばいばい。」
そう言って部屋に戻って行った彼。
絶対また明日って言おうとした…よね。
…どうしても、その言葉だけは好きになれないの。
『私ね、ヘアメイクさんになりたいんだ!』
『紗葉と私が組めば最強で最高なの。だからさ、死ぬなんて言わないでよ。生きてよ。一緒に生きようよ。』
頭にうつしだされる久しぶりの記憶。
久しぶりの声。
私は成長したのに、ずっと変わらない。
「ごめんね、やっぱ…夢叶えられそうにない…。ごめんね、約束守れなくて…。ごめんね。
美由紀。」
私しかいない病室でそう呟けば涙が溢れてくる。
あの時だってたくさん泣いたのに。
いつになったら涙が枯れるの?
どれだけ泣いたら私は気が済む?
「美由紀って…誰….?」
その呟きが彼に聞こえてるなんて思ってもなかった。