『紗葉…。』






私の声なんて届くわけないってわかってるけど、







それでもやっぱり無意識に言葉を発してる。







「あのね!今日学校で奏多がまたバカだったんだよ!」





「はっ!?それ言ったら真奈のが小テスト悪かったじゃんか!」






「ああ、真奈be動詞の意味わかってないものね…」





「恵ぃぃいいいいい!奏多にはそれ言わなかったんですけどぉおおおおおおぉおおお⁉︎」






「真奈ちゃん、どんまいっ…」






「ちょ、紗葉ちゃん!?」







……、あ。






紗葉、笑ってる。








「ねえ、紗葉!水族館行かない?」






「水族館…??」






「そっ!ちょうど2枚チケットもらったから…」






「……行きたい。」







「ほんと!?」






「よかったじゃん!誠!」







さっきの名前のわからない美少年はどうやら“誠”って名前らしい。







「紗葉ちゃん、よかったね!」





「楽しんできて♪真奈たちは勉強会だけど。」




「恵の鬼!」






…多分紗葉の好きな人なんだなって思った。







ていうか、両想いっぽい。