「ごめんなさいね、また明日も来てくれるのに。」
「誠くん、毎年悪いな。」
「いえ、俺が紗葉の所に行きたいんですよ。」
「ふふ、紗葉も誠くんが来てくれると喜ぶわ。」
あれから7年が経って。
俺は大学を卒業して、無事医者の道を進んでる。
今日は紗葉のお母さんとお父さんと、…お墓参りです。
「ごめん、誠くん、お花変えてもらっててもいい??私たち水組んでくるから。」
「あ、はい、全然大丈夫です!」
花を受け取って、先に紗葉のお墓へと向かう。
“朝日奈 家 ”
既に場所を覚えたから、すぐに来れて。
そっと目の前にしゃがんで、花を変える。
「紗葉ー、俺ね、医者の夢叶えたよ。紗葉が応援してくれてたから、諦めるわけにもいかないしね。」
紗葉が言ってたとおり、俺も最後の最後まで夢を諦めない。
そう思ったらもうほぼガムシャラに勉強してた。
「ちゃんとね、紗葉がデザインしてくれたスーツ着てるよ。」
今日は私服だから、着てないけど。
着てくれば良かった、かな?
「あの時は本当に俺、荒れてて自分見失ってたけど、紗葉のおかげで救われた。ありがとね。」
…あ、そうそう。
「明日ね、久しぶりに奏多たちと会うよ。別々の大学行ってからなかなか皆で集まれなくて。真奈と恵とは家が近いから時々会うけどね。会うって決まったらみんな紗葉に会いたいって言うから、明日連れてくるね。」
よし、報告済みだから紗葉も許してくれるはず。