店を出て、大急ぎで電話する。




多分、今はもう授業が始まっちゃってるから、真奈が1番繋がる、かな?





── プルルッ




『はい、もしもし?誠?』





ビンゴッ!




ワンコールで出た真奈にやっぱり、と思って少しだけ声に出して笑う。





『ちょ、こっち授業中なんだから用件、早く。』



「ごめんごめん、実は紗葉のお母さんから、渡したいものがあるって言われて。凄いよ。一人一人それぞれにデザイン画。」



『え、まじ。』


「まじまじ。」



『 せんせー!私、早退します!! “中原、具合でも悪いのか? ” そうですう、具合悪いんですう。だから恵と徹と奏多も付き添いで連れてきますう。 “お前、ふざけんな!” ぎゃー!なんでよ!? 』






甘ったるい声を出して手っ取り早く全員早退させようとする真奈の先生への扱いにまた笑う。





ていうか、付き添いで3人も早退しないっつーの。







『はいはい、わかった。おっけー。事情があるのよ。こっちは。 “…もうダメだ、お前には本当敵わない…” ほんと!?じゃあ恵も奏多も徹もほら帰る準備して!!」






項垂れるような先生の声が聞こえて、真奈に降参したんだなー、って思う。






まあ真奈は頑固だから、先生の気持ちなんとなくわかるけど。








『“おらああああああ!!てめっ、数学の宿題3倍にしてやる!!” 鬼!!ただの鬼!!鬼山!! “誰が鬼山じゃわれい!!” あ、誠ごめん、着いたらまた電話するわ。」






騒がしい教室の音が聞こえる中、そんな真奈の声が聞こえてブチッと切れた電話。





あれ、今って確か数学の時間だよね?





…ああ、岡山先生厳しいから、よく真奈が鬼山鬼山言ってたな…。






携帯をしまってさっき渡されたデザイン画を一つ一つよく見る。





ほんと上手い、な…。





真奈は白色のシンプルだけど、どこか可愛らしいワンピース。




恵はデニムのショートパンツに、黒のタンクトップ。その上に白の透け素材のサマーニット。




奏多は、八分丈の黒いズボンに白のTシャツ。黒いベスト。黒のハットまである。




徹は、だて眼鏡に、少しダボっとしたズボン。奏多と同じ白色のTシャツに緑色のストール。






みんながこれを見た時の反応がなんとなくだけど想像出来て、口角が自分でも上がってるのがわかった。