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誠へ。
これを誠が読んでるってことは私はもうそこにはいないよね?
誠の隣にもっと、もっと居たかったな。
でもその願いは叶わないようです。
ごめんね、私が癌だから…。
私は元気な人と私は違うってずっとずっと壁を作ってた。
現実を見るのが嫌でずっとずっと逃げてたの。
みんなと会う前の私の世界はまるでビー玉で。
手足も自由に伸ばせない息苦しい世界だった。
ああ、私はこの狭い世界で短い時を過ごすんだってなにもかもに諦めてた。
そんな時、白い羽根を生やした天使と出会った。
5人の天使は暗闇のビー玉の中にいる私に手を伸ばしてくれたの。
でも、変わるのが怖かった。
また、失うのが怖かったの。
だからその手を振り払った。
それでも変わらず差し出してくれる手に私はいつしか心を開いてたの。
彼らの周りは妙に輝いてて、笑顔がすっごく素敵だった。
手を引っ張られるがままビー玉の外の世界に飛び出せば、
あり得ないくらい綺麗な青空が広がってた。
私には経験したことないような世界で。輝いてた。
途中で何度もビー玉の世界へ戻ろうとした。
失うのが怖くて、何度も傷つけた。
でもその度手を引いて、その輝く世界へ残してくれた。
ありがとう。こんな5文字じゃ伝わらないよね。
でもそれ以外に伝える言葉がないんだ。
ごめんね、ありがとう。
生きたいって思えた。
たった16年の人生だったけど悪くないなって思えた。
この人生、…笑顔で終われるよ。
誰かに16年なんてちっぽけだって笑われたら、
その16年が私にとってすっごく幸せな宝物だったって言い張る。
…明日が来るって本当にすごい幸せなことだって気付くこともできたよ。


