「誠、いい加減目覚ましてよ。最近変だよ。」
「…別に、変なんかじゃないよ。」
そのまま、苛立ちを名前も知らない男子の人にぶつけてたら見事に先生に生徒指導室に連れられた。
「学年でトップの成績の椎名がどうして」って嘆いてた先生に、恵が少しだけ事情を話して。
…俺は今後注意っていうことで今回は処分なし。
「…よくそれで変じゃないって言えるよね。充分、変だよ、誠。心ここに在らずって感じ。」
「…じゃあお前らは1週間でこの状況にお前ら納得してるのかよ?そんな簡単に紗葉がいたって証、捨てられるのかよ!?」
俺が大声を張り上げた途端、恵が一瞬眉を悲しそうに下げたのが見えた。
「私達だって、納得なんかしてないよ!?紗葉ちゃんがいなくなったこと、はいそうですかなんて認められないよ!?でも、それじゃダメなんだよ…。いつまでもそうやって悲しんで自分見失ってても…、そんなこと紗葉ちゃんは望んでないから…」
真奈が珍しく怒って、苦しそうな表情をする。
分かってるよ…、俺だって。そんなこと。
でも、どうしたらいいか、わかんないんだ。
俺、これから先どうしたらいいかわかんないんだ…。
「…俺、どうしたらいい?」
そんな疑問を投げかけて震える手の平で髪の毛をぐしゃっと握る。
その時、マナーモードにしていた電話がポケットの中で震えた。


