「ねえ、誠?」
「……………、え、何?」
…あれ、記憶がない。
俺今まで何してたっけ。
辺りを見渡せば、見慣れた学校の廊下だった。
「真奈、今何時?」
「何時って、さっき食堂でお昼ご飯食べたところじゃん…」
そうだったけ?
ボヤボヤした頭をなんとなく掻く。
てことは、今は昼休み?
何か思い出せないかと記憶を探ってみるけど全然ダメだった。
どんだけフリーズしてるんだよ、俺。
…あれから紗葉はどこかに連れて行かれて。
翌日にはもうお通夜が開かれてた。
「誠、もう1週間だよ?そろそろ、しっかり…」
「マジで?くっそだりぃー。英語とかマジ死ね。つーか死にてえー!」
「それな。俺も定期テスト親に見せるとかマジ死ぬわ。でもそっちの方が自分の老け顔見なくていいんじゃね?ちょっくら今から死んでこようかな。」
真奈の言葉の途中で、ガハガハ、と笑う男子2人の会話にどこか苛立ちを覚える。
「え、ちょ、誠!?」
「は?誰、お前?」
「誠っ、待って!!落ち着いて!!」
真奈や恵の制止なんか気にならずに、いつの間にか無我夢中でそいつの胸ぐらを掴んでた。
「簡単に死にたいなんて言うなよっ!簡単に死ぬなんて言うなっ…!!」
…紗葉、今何してますか?笑ってますか?泣いてますか?
「だったら、その命、紗葉にあげろよ…、生きたくても生きれない人だっていっぱいいるんだよ…」
どうしたら紗葉が笑ってくれますか?
「誠っ!、やめてっ!!」
俺が死んだら紗葉は生き返りますか?
「紗葉にっ、謝れ…!!」
…俺が死んだら、紗葉は笑ってくれますか?


