── 誠side
けたたましく機械音が鳴って、それぞれの数値が0を示したと同時に紗葉が瞳を閉じた。
「嘘だ…っ、」
目の前の光景でなにが起こってるのか、理解ができない。
いや、理解したくなかった。
「紗葉ちゃん…!?紗葉ちゃん!!ねえ、起きてよ!!ねえ、!!」
泣きながら叫ぶ真奈が紗葉の体を揺する。
「真奈、落ち着いてよ!落ち着いてよ!!…、紗葉ちゃんはっ、紗葉ちゃんは…」
そんな真奈を止める恵だけど恵だって混乱してるはず。
いつもみたいに冷静な恵じゃなくて、溢れ出す涙を必死で拭いながら真奈に“落ち着いて”とただ訴えかけてた。
「意味わかんないし…、紗葉ちゃん、いなくなるとか、ないでしょ、そんなの。反則。」
「奏多、…奏多、紗葉ちゃん、っ、紗葉ちゃんは!?」
後ろで徹と奏多が何か言ってるけど、全然頭に入ってこない。
泣き崩れる紗葉の両親。
忙しなく動く看護師。
…どういうこと?
紗葉は?紗葉は、どこ?
動こうと思っても動けなくて。足と足が床と一体となったみたい。
声?声ってどうやって発するんだっけ?
頭が重い。頭が痛い。
動かない紗葉を見ながら、俺は涙を静かに流すことしかできなかった。


