「紗葉っ!!」
だって、ほら。
愛おしい声に振り向けばみんながいて。
私は1人じゃないよって。手を差し伸べてくれた、みんな。
「……、学校、は?」
「そんなの、早退っ…!」
「真奈ちゃ…、勉強ついてっ、…行ける…の?」
「ついていくよ…、だって…っ、また紗葉ちゃん教えてくれるでしょっ?」
駆け寄ってきた真奈ちゃんの目は涙で濡れてた。
「紗葉ちゃん、諦めないでね。…あの時、言ってたじゃん…っ。諦めないって。最後の最後まで生きること諦めないって。」
「うん…っ、諦めないよ。…生きたい…っ、私、っ、生きたいからっ…」
恵ちゃんの言葉に小さくだけど頷けばその動きによって私の目から涙が伝う。
「紗葉っ、…紗葉っ…。」
「誠っ…、私、みんなと出会えて…、幸せだった。っ…みんなと笑えて、生きてるって、素敵なんだって。ありがとう…、ありがとね…」
あの時、誠と出会わなかったら。あの時、真奈ちゃんたちが私の部屋に来なかったら。
私は今もこの狭い世界で1人つまらない時間を過ごしてた。
生きたいって思えたのも。また、私が笑えるようになったのも全部誠のおかげ…。
「ありがとう…っ。誠っ。」
「…っ、俺だって、ありがとう、紗葉っ。」
そういって笑うと、誠も涙が流れる頬で笑ってくれた。
「みんな、も…、お、かあさんも、お父さんもっ…、ありがと…っ」
今、伝えたかった想い。
“ありがとう”ってたった5文字のそれだけ。


