「…紗葉、さっき泣いたね。」
「…え?」
「目、赤い。」
そう言った誠からすぐに目を逸らす。
だいぶ、赤さ収まったのになあ…。
「なんかあった?」
「うーん…、改めて余命宣告されたくらいっ。」
そう明るく言うと奥で言い合ってる真奈ちゃんと奏多くんたちでさえピタッと動きが止まる。
「え、な、何…?」
「何じゃないよ!どうして言ってくれなかったの!?」
「え、え、だって、…こういう空気になると思ったから。」
うん、だって…すごい静かで暗くなっちゃった。
「……、まあそれは置いといて。なんて言われたの?」
「あと、3日から1週間だって。」
聞いてきた恵ちゃんの顔が一瞬で曇る。
真奈ちゃんは少しだけ唇を噛み締めながら私から視線を逸らした。
「…大丈夫だよ、さすがにさっきはショックで泣いたけど。もともと心の整理はついてたし。それにみんながいるから。私、後悔なんてこれっぽちもしてないし。」
「…ならいいんだけど、さ。紗葉は自分1人で抱えこむから、それだけはやめてよ?辛かったり苦しかったらちゃんと言ってね。」
「そうだよ、カラ元気と相手を気遣うって違うからね!?」
「ふふっ、うん、ありがとう…」
…さっきは本当にショックだったけど、
みんなと喋ったから自然と心は元気、かな。
「でも、私、前、誠にさ、最後の最後まで夢を諦めたくないって言ったんだけど…、生きることも、私、最後の最後まで、諦めたくないの…。生きたいって最後まで思ってもいい、かな…??」
「もちろんっ、でしょ…」
そう言ってみんなが優しく微笑んでくれたから。
最後の最後まで生きること、諦めないって、ちゃんと決意した。


