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「紗葉ー?何描いてるの?」
「…服のデザイン?」
「ふは、なんで疑問系?」
いや、だって服のデザインって堂々と言えるほど私才能ないし…。
「どうしてそんなに隠して描くの?」
「え、…うーん、秘密。」
「ふは、何それ。」
私の絵は本やらなにやらで隠していて、今出てるのは白色のサンダルだけ。
…よし、完成。
サンダルが理想通りに出来て安堵の笑みが零れる。
…あの時からずっといつもみたいにみんなが毎日欠かさず来てくれて。
…今はもう3月になっちゃったんだけどね。私に残されてるのは、あと1ヶ月もない。
「みんながいる時は描くのやめようと思ってたんだけど、あと少しで完成だったからどうしても描きたくって。」
「…急いでるの?」
「うん、急がなきゃ。」
5着描くのって案外時間がかかるから…、急がなくちゃもう間に合わない。
デザインするだけで大変だったからなあ…。
今日は土曜日で、みんながきてくれたんだけど、
今はジュースを買いに行きたいってことで誠以外がロビーに行っちゃったため、病室に2人きり。
「ねえ、誠、人って生まれ変われると思う?」
「…うーん、その質問難しい。」
「よね。…でも私はもし生まれ変われるなら生まれ変わりたい。…生まれ変わってまたみんなに会いたい。」
その時はせめて癌はないといいな。
チラッと誠をみると、微笑んでくれてたから、誠もそう思ってくれてれば嬉しいなって思った。


