「私っ、ずっと普通の人生が生きたかったの…っ、病気なんかなくて。友達がいて、毎日楽しくて…。」
文化祭の時に言ったような人生がずっとずっと過ごしたかった。願ってた。
「病気をなくすとかは無理だけど、…、みんなといるのすごい楽しいの、っ、みんなと一緒に過ごすのが私が今、1番望んでる人生なの…っ、だから、あと2ヶ月。私が生きたい人生を送るの手伝ってくれませんか…??」
誠はあの時、協力するって言ってくれたけど…、今はどうかわかんないし、みんなもなんて言うのかな…。
「多分、これからも傷つけちゃうし…、不安にもさせると思う…、自分勝手なのは十分承知。でも、それでも、みんなといたい…っ」
必死で訴えてぎゅっと目を瞑りながら頭を下げる。
誰も何も音を出さないから、聞こえるのは、
少しの嗚咽と、病室の外から聞こえる今日も忙しない足音だけだった。
ダメ、かな…、やっぱり…。
そう思ってゆっくり目を開けると、
「紗葉、顔上げて。」
誠の優しい声が静かな病室に、木霊した。
言われたとおり、少しためらいながら顔を上げると、みんな微笑んでくれてた。
「紗葉ちゃんって心配性?…何回も言ってるじゃん。私たち紗葉ちゃんが大好きだって。」
「そうそう、手伝うなんて言わないでよ。私たちだって紗葉ちゃんと一緒にいたいんだから。」
「恵の言う通り、手伝うって表現がまず違うよねーっ。俺に人生って言葉は莫大すぎてあんまピンとこないけど、俺らだって紗葉ちゃんと一緒に人生過ごしたいんだよ。」
「徹が珍しくいいこと言うじゃん。」
「奏多ひどい!!!」
「ふは、まあ僕たちだって紗葉ちゃんといるの楽しいんだよ。自分勝手なんかじゃないし。そんなんで僕達が離れてくなんて勝手に思ってるところがしいていえば1番自分勝手でしょ。」
「…こんな時でさえ毒舌な奏多くんです、」
「…誠だって、そう思ったくせに。」
「ふは、まあね。言ったじゃん。俺らみんな紗葉が大好きだって。みんな紗葉のことちゃんと受け入れてるんだよ。紗葉は仲間の1人だからねー。」
笑いながらそう言うみんなにまた涙がどんどん落ちてくる。
「わーっ、紗葉ちゃ、っ、泣きすぎっ…!!」
「そういう真奈だってすごい泣いてるじゃない。」


