「助けてっ…、誰か助けてよっ…!!」




もう誰でもいいから。助けて欲しかった。




命が欲しかった。




健康な体に生まれたかった。






「誠…、ごめんねっ…」





繰り返し目の前の彼に謝る。




ごめんね、私ががんだから。




ごめんね、ごめんね。





私が誠のことを好きになってごめんね。






「紗葉…っ、俺は紗葉を好きなれて幸せだよ?」



「…でもっ、誠ならもっと素敵な人がいたのに…っ!!」





言葉の途中で、優しく抱きしめてくれる誠にまた愛おしさが込み上げる。





「…紗葉も1人で苦しいんだよ。俺すっごい不安だったの。昨日。紗葉がいなくなりそうで。紗葉だけが怖いんじゃない。俺だって紗葉がいなくなるのが怖いよ。」




「…、…私、あのまま、死んじゃうんじゃないか、って、怖かった。その瞬間、まだ生きたいって強く思ったっ…、だから余計に怖いのっ、…死ぬのが余計に、怖いの。」





「……、大丈夫だよ、大丈夫。紗葉はっ、1人じゃないんだよっ。」






大きな手が私の頭を包み込んでゆっくり撫でてくれる。






温かくて安心する大好きな手。







ああ、私、今、生きてる。