── 紗葉side
「…ん、紗葉!?」
「ん、あれ…みんなも、ごめん、…私、倒れた、よね?」
「…うん、倒れたかも。」
「なんかごめん。前も今も、迷惑、かけて…」
「全然。迷惑じゃない。」
ぼんやりした頭で人口呼吸器を外しながら、そっと起き上がる。
時計は6:12を表示していて、みんながいつの間にか病室で寝ていた。
前にもこんなことあったな、とか思う。
「…誠、泣いてる?」
「泣いてないし。」
「泣いてるじゃん、」
そう言って切なげに笑うと、誠も眉を少し下げて微笑んだ。
「ナースコールしとくね。」
「…うん、ありがと。」
「真奈たち起こす?」
「ううん、私のせいだからいいよ。」
「紗葉のせいなんかじゃ、ないのに。」
「ありがと。…でもね、多分私本当にもう永くないと思う。」
…絶対にそうだと思ってた。あと2ヶ月近い私の命は、本当にタイムリミットを迎えてるって。
分かってた。…分かってたはず、なのにね。
「…うん。」
「…ごめんね。誠。ごめんねっ、…ごめんっ…」
「どうして、紗葉が謝るんだよ。…っ、」
私がそっと涙をこぼせば、元々涙目だった誠の声も震え出す。
「生きたい…っ、私生きたいよっ…」
どうしてよ。神様。
こんなにも、生きたいんです。
好きな人だっている。信頼できるみんながいる。
これからやりたいことだっていっぱいある。
夢だって諦めたくないって思ってる。
…、この運命を受け入れたくないんです。
生きたい。…まだ私は生きたいの。