「紗葉ちゃんがいなくなるのは私だってすっごい不安。頭ではわかってるつもりでも心がついていけない。だってそうでしょ?紗葉ちゃん、普段は元気でいっつも笑顔でいてくれたんだから。」






真奈の涙声で伝えてくる言葉に静かに頷く。






「…元気な人が死ぬなんて考えられないんだよ。もし、なんて思わないから。自分のすぐそばにいる人が死んじゃうなんてみんな思ってないんだよ。」






俯いた真奈の雫は瞬きによって暗い床へと吸い寄せられる。






「みんな、遅いんだよ。それじゃ。いなくなってからじゃ。紗葉ちゃんを失ってからやっと大切さに気付いても遅いんだよ!!…だから、自分なんて責めてる暇があったら祈ってよ、紗葉ちゃんが起きるようにって。…祈ってよ。」





ずるり、と座り込む真奈に、“ごめん”と呟く。





そうだね、真奈の言う通り。





馬鹿だよ、俺。






自分を責めることよりも悔やむことよりももっと大事なことがあったのに。






…紗葉、みんなそばにいるよ。






だから、お願い、目を開けて──…!