─── 誠side





繋がれた電子機器が痛々しくて、そっと目を逸らす。





3時間前くらいに倒れた紗葉は大がかりでどこかに運ばれて。




もう安心だから、といつもの病室に戻ってきた紗葉は人工呼吸器を付けられてたり、機械に囲まれてた。




…何がもう安心なんだろう?




人工呼吸器が付いてる時点で全然安心じゃないだろ。




ピッ、ピッ、と定期的に音を叩き出す機械が紗葉の命を確認してるだけなのに。





…いまだに、紗葉の意識は戻ってない。






「…情けなさすぎるじゃん、俺。」





あの時、紗葉のすぐそばにいたのに。





…紗葉を守るって言ったのに。




これっぽちも、守れてない。





「誠は、情けなくなんて、ないよっ。」



「…ううん、真奈、情けないんだ。紗葉を、守れなくて。」



「紗葉ちゃんはそんなこと思ってないよ、…だから泣かないで?」



「泣いてなんか…」





“いないのに”、そう言おうとして止めたのは頬に何かが滑り落ちたから。




それは右頬も同じで。





「何これ…、」



「泣いてるじゃん、誠。辛いじゃん、苦しいじゃん。…吐き出しなよ、今ぐらいは。」





よく周りを見れば、俯いてる奏多も徹も、呆然としてる恵も、目の前の真奈も、…泣いてた。





「…、紗葉、死ぬんじゃないかと思った。本当に心配で、不安でっ…。本気で紗葉を守りたいって思ってるのに、っ…!!どうしたらいいかわかんなくてっ…、何もできなかったっ!」



「…うん、」





「管だらけの紗葉見て、紗葉がいなくなるのがこんなに怖いんだって改めて思った時、自分が憎くて。今更なんて、馬鹿じゃんって…。」




「…馬鹿だね。誠らしくない。…、あんただけじゃないよ。そう思ってるのは。」





「え…?」



「私らもそうだよ。紗葉ちゃんがいなくなるのが怖かった。今だって不安だよ。管だらけで本当に紗葉ちゃんが生きてるのか、って。でも…信じるしかないじゃん。紗葉ちゃんが、生きてるって信じるしか私はできないんだよ。」



「…でも、」



「私も紗葉ちゃんが倒れた時、何もできなかった。後悔してる。…でも自分を責めるのと、紗葉ちゃんの回復を祈るのって違うじゃん。だから、私は今、紗葉ちゃんが目を開けてくれるのを待ってるの。悔やむのも責めるのもその後だよ。」