「…っ、え…、」
一瞬の出来事だったけど、時が止まったように感じる。
…音も思考も流れが停止して、声が上手く出ない。
鼻と鼻が当たりそうな距離からゆっくり離れてく誠に、
そっと少しずつ理解していく。
それと共に熱くなってく顔をぎこちない動きをする両手で隠した。
「…顔、真っ赤。」
「だって誠がいきなり…っ!」
「いきなり、何?」
「〜っ、キス、なんてするからっ!!」
あはは、と笑う誠は本当に予測不能だと思う。
だって今全然そんな話じゃなかったのに!!
でも、全く嫌じゃないから、…お互い様?
「どうして、今なの!?」
「え、なんかしたくなったから?」
何それ、なんて思って手を顔から外すけど、楽しそうな姿が目に入るから、もう何も言い返せなくなった。


