「でも紗葉も夢諦めて無いみたいで、なんかちょっと嬉しいかも。」
「…なんで誠が嬉しいの?」
「だって紗葉の夢、俺らも応援してるしね。」
「ふふ、ありがと。…まあぶっちゃけ諦めようと思ってたんだけどね。叶わないならどうにでもなれって。」
叶わない夢なら見ない方がいい。諦めた方がいい。
…私は夢なんて見ちゃいけない。
ずっとそう思ってた。でも…、違うなって思った。
「叶わなくても諦めちゃダメなんだって。例え叶わくても諦めずに追い続けることって、すごい価値あるものだな…って。」
そっと窓の空を見上げてそう呟く。
…空や雲には手が届かなくても、手を伸ばし続けることを諦めたら届くものも届かないじゃん。
「だからね、私も最後の最後まで諦めたくないんだっ。」
笑って明るく言って、誠のいる方へ振り向いたのもつかの間、突然、
─ …唇に何かが重なった。


