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今日はみんな委員会とか部活で忙しいらしいから、誠だけ来てくれることになった。
「…ねえ、誠の夢ってなんなの?」
「俺の夢?」
「だってなんか私はデザイナーって夢があるけど誠はそういう話したことないじゃん。」
「ふは、そういえばそうかも。」
そりゃあ私もいきなり何言ってるのって感じだけど、
だってなんか知りたいんだもん…。
「俺の夢はねー…、そうだなー…、医者、かな。」
「医者…?医者って橘田先生みたいな?」
「そうそう。…病院で、命を助けたいんだ。」
「…、いつから医者になりたかったの?」
「うーん、紗葉と出会う前からぼんやりとは思ってたんだよね。でも紗葉に会ってはっきり決まった感じ。」
そんな言葉に、相槌を打つ。
医者…、ね。
「………、お医者さんってね私大変だと思うんだ。だって私みたいな病気の子も、自分の世界に心ごと閉じこもっちゃうこもいるし。」
「うん、…そうかもね。」
「…でも、私誠なら大丈夫だと思う。誠は人の心を温かくしてくれる優しさがあるから。…それってひとつの才能だよ。」
「…ふは、ありがとう…。」
目尻を下げて微笑む誠に私もそっと口元を緩める。
…応援するよ、誠の夢。


