「…紗葉、がんだからって我慢なんてしなくていい、がんだからって理由で諦めなくていい。自分に素直になって。これは紗葉の人生なの。…自分が望んだように生きていいのよ。」
「………、うん。」
そう私だけに聞こえるようにコソッと言って、
“じゃあ私、ちょっと橘田先生のとこ行くね”なんて言いながら、
病室からお母さんが出て行った。
「……、紗葉ちゃんっ、あの、この前はごめん!」
「…全然っ!!あの、私が悪かったの…。ごめん、なさい…」
お母さんが出て行った瞬間に、頭を下げて謝る恵ちゃんに慌てて私も謝る。
恵ちゃんは悪くないのに…。
「さっきね、お母さんにも言ったんだけど、あんなのただの私の八つ当たりなのっ…、本当にごめんなさいっ…!!」
「…ううん、紗葉ちゃんは一杯悩んでたんだと思う。誠から聞いた…っ、私もすっごい冷たい態度取っちゃった…、ごめん…。」
「冷たい態度なんて…、」
「取っちゃったの。私たちは紗葉ちゃんのこと、仲間だと思ってたのに紗葉ちゃんはそうは思ってなかったんだ、って思ったらなんか悲しくって。むしゃくしゃしちゃって。…ごめん、ごめんね…紗葉ちゃん…」
「そんなっ、…私は全然いいのっ…、みんなを傷付けちゃったから…。こっちこそごめんね…」
泣きそうな恵ちゃんの目をみてそういうと余計に潤まりだす瞳。
…もう一つ言わなきゃいけないこと、あるんだった。
「私ね、あの時の恵ちゃんの“私たちのこと好きか嫌いか”って質問にどうしても答えられなかった。…嘘でも、嫌いなんて言えなかった…、みんなのこと、私、大好きなのっ…。あと3ヶ月の命なんだけど、それでも、また友達になってほしい…、またみんなで笑い合いたい…、」
「…紗葉ちゃんっ…」
真奈ちゃんの声にそっと顔を上げると、涙を浮かべながらみんなが笑ってくれてて。
「もちろんだしっ!!喜んで紗葉ちゃんのそばにいるもん!!」
「真奈の言う通りっ…、ていうかまず紗葉ちゃんに言われる前に私たちが無理矢理にでも来るつもりだったしね。」
「まあそもそも、また友達になるも、なにも今までも今もこれからも友達だし仲間じゃないの?分かりきったこと言われても…。ねえ徹?」
「はい、キター、奏多の毒舌っ。まあその通りだけどね。紗葉ちゃんは俺らの仲間!」
1人1人、温かく声をかけてくれて自然と涙が溢れてくる。
「紗葉」
優しい声に目を向ければ、眩しいくらいに輝いてる誠がいて。
「俺らね、みんな紗葉のこと大好きなんだよ。多分紗葉に負けないくらい。」
微笑む誠にみんなが頷く。
「…あ、りがと…っ」
「あー、もう紗葉ちゃん泣きすぎっー、」
……、私、本当にみんなと出会えてよかったって心の底から思うよ。


