「…死にたいっ、なんて思う自分が嫌っ…」
うずくまって腕で顔を隠しながら泣き出す私に、
段々近づいてくる足音。
そっと大きな手が私の頭に触れた。
「…紗葉、前俺が言った言葉覚えてる?」
「…前?」
「“ずっと俺らがそばにいる”、“紗葉の生きたい人生を送ろう、できる限りのことはする”って。」
「……覚えて、る…。」
美由紀の話をした後と、文化祭が終わった時…。
優しく笑って、誠が目線を合わせるためにしゃがむ。
「紗葉は、紗葉だよ?他の誰でもない“朝日奈紗葉”。無理に変わろうとしなくていい。…死にたいって思うくらい紗葉は今の人生を一生懸命に生きてるじゃん。」
「…でも、っ、こんな自分嫌いなのっ、…恵ちゃんとか傷つけることしか出来なくて…っ、」
「恵だって奏多だって徹だって真奈だってみんな紗葉が好きで、みんなずっと心配してるんだよ?恵なんて特に上の空で。」
「…、私のことみんな嫌ったでしょ?」
「そんなわけないじゃん。みんな紗葉のこと大切に思ってる。まあ俺の場合もっと別だけどね?」
悪戯っ子みたいに笑う誠をそっと涙の溜まった目で見る。
私の頭に手があるせいか、顔の距離が10cmくらいしかなくて。
顔がどんどん熱くなってる気がした。
「…、死にたいって思う私は、弱いでしょ?」
「俺はそうは思わないけどなあ…、死にたいって思う人は本当は心の底で生きたいと思ってるんだよ。全力で今を生きてるんだよ。だからさ、紗葉も自分を否定しないで?」
「…うん。」
静かに頷くと、満足そうに誠がとびっきりの笑顔を見せてくれた。


