「…紗葉っ!やっぱ、なんかあったでしょ。」
「…なんもない。」
「でもっ、普段の紗葉ならそんなこと言うわけない…!」
「…何でもないってば。」
「じゃあ、どうして…!」
「何でもないって言ってるじゃん!ただの私の気まぐれ!!」
大声を張り上げて誠を睨むと見開かれる澄んだ瞳。
「ねえ、みんな私の何がわかるって言うの?…がんの私をあなたたち健康な人が何がわかるって言うの?」
「…。」
ほらね、答えられないじゃん。
「ずっと苦しかった。辛かった。誠たちは美由紀に似てるね。…、あなたたちと歩いてると自分が惨めでどうしようもないの!!
でも、もだっても、何でもないよ。今までずっと無理してた。それはお互い様でしょ?
だったらもうお互いそんなのやめようよ。」
「無理なんてしてない…!それは勝手に紗葉ちゃんが決めつけてるだけじゃん!美由紀って子だって全然よく知らないけど、私たちをその子に無理やり紗葉ちゃんが重ねてるだけじゃん!」
初めて聞いた真奈ちゃんの大声の怒り声に少しだけ目を細める。
ねえ、わかってよ。わかっててば。
「もう、…嫌っ、なのっ。もうあなたたちといるのも元気な人といるのもうんざり!!」
真奈ちゃんたちといると、まだ生きたくなっちゃうから。
ねえ、もうお願いだから。
「これ以上私を苦しめないで…」


