「どうして…っ、どうしてそんなこと言うの…」
「…お母さんのせいだね。こんな病気になる体に産んだから。」
「…ねえ、紗葉。やめて?自分の体を悪く言わないで!」
「どうして?だって悪く言うしかない体なんだもん。」
「紗葉の人生は、っ…そんな辛いことしかない人生じゃないでしょ?」
「辛さの方が遥かに上回ってるよ。こんな人生って分かってたらお母さんも産まなかったでしょ?」
ふるふると横に首を振るお母さんに笑いかける。
「もういいよ。偽善者はこの世にいくらでもいるの。…お母さん、今日は本当に帰った方がいいよ。」
「………、また明日って言葉はやっぱりまだ嫌いなのね…。」
そうボソッと呟くお母さんに怒りがこみ上げる。
「誰のせいで…っ、」
「そうよね。お母さんのせいよ。」
慌てて涙を流しながら笑うお母さん。
「…なら、言ってあげるね?またいつかね。お母さん。またいつかなんてあるかわかんないけど。」
そう言うとドアが閉まる瞬間に気まずそうな顔をしたお母さんが見えた。


