「そしたらこんなに悩まなかった。苦しまなかった。今頃笑って生きてたんじゃない?美由紀だって死なずに済んだよね。
なのに今更?5ヶ月長く生きるために私にもっと苦しめって?
産んだのは私だから勝手に人生決めるなって?
はっ。冗談じゃない。
だったら、私なんか産まないでよ。別に誰もこんな体に産んでくれなんて頼んでないけど。」
━ パンッ!
乾いた音が病室に響いて左頬に痛みが伝わる。
「…っ、」
「ふざけないで…。ふざけないでよ、紗葉!紗葉だけが苦しんでるんじゃないのよ!?」
お母さんの頬の涙をみればその言葉に嘘はないってわかるのに。
「…お母さんに私の苦しみはわからないよ。だってがんじゃないもの。」
「…紗葉っ。」
「私だってこんな体に産まれてきたくて生まれたんじゃない…!産んで欲しくなんかなかった!生まれたくなんかなかった!こんな人生要らなかったよ!!!」
もう、いいの。
どうせあと3ヶ月じゃん。
どれだけ色んな人に嫌われても、もう別にいいや。


