「…あの子、じゃない?」
「…朝日奈さん!」
自分を言い聞かせながら歩いてると名前が呼ばれて振り返る。
視線の先には知らない女の子が3人。
高校生くらい…?
「あんたでしょ。椎名くん達の優しさ利用してるって女は。」
「…は?」
椎名くん…?誠のこと…?
「あの、誠のことだったらもう関係ないんですけど…。」
「はいはい。うざいー。関係ないフリしないでくれるー?」
「がんだか、なんだか知らんけど高木くんとか北条くんとかも利用して?」
「挙句、真奈ちゃんと恵ちゃんまで、なんて図々しいにもほどがあんだよっ!」
徹くんに、奏多くん、真奈ちゃんと、恵ちゃん…
よく、話が見えないんだけど…。
「うっっざ!ぜってえ分かってねえだろ。」
「椎名くん達が一緒にいてくれるのは優しさ。つうか同情?」
「あんたのこと好いてんじゃなくて同情。あっちだって迷惑してるの。」
同情…、迷惑…?
「…勝手に話進めないでよ。」
「あの人たちの優しさと同情につけ込んでまでみんなの憧れのあの華の5人組と居たい?」
「残念ながらみんな人気者。あんたに構ってる暇はないの。」
「迷惑考えろよ。みんな嫌々付き合ってんだっつーの。」
…それくらい、知ってる。
だからこそ、離れたじゃん。
「二度と近付くな。お前のせいで椎名くんを好きな女子が傷ついてんだよ。」
「……もう会わないよ。…もう、近付かないよ。」
あなた達に言われなくても元々そのつもりだから。
「…は?何泣いてんの?」
「え、ちょ、ねえ、里衣奈、やばいんじゃない?もう帰ろ。」
泣いてなんか、…ない。
目から水が溢れてくるだけ。
パタパタと足跡がして嵐のように女の子たちが去ってった。