そう言って振り返らずに病院の中へ入っていく。 「…これでいいの。」 大丈夫。 これでいい。 涙、なんて流すな。 悲しくなんてない。 自分で決めたことなんだから。 「…っ。」 泣くな。 泣くな。 そう何回も思うのに。 瞳が溢れ出る水を受け止めきれず、 頬に涙が伝う。 「…早く、病室に戻らなきゃ。」 そう思って病室へ足を向かわせる。