「…線香花火って切ないよね。」
「…え?」
突然左隣の徹くんがそんなこと言ってくる。
…切ない?
線香花火、が?切ない?
「切ないって言うか…、儚い?」
「…どうして?」
「…なんでだろうね、こんな輝いてるのにすぐに失って落ちちゃう所かな?」
「……、そうだね。儚い、かも。」
…短い命ってこと?だよね?
確かに儚くて、脆い…かも。
「まあ、そんなすぐに終わっちゃうからこそこんなに輝いてるんだろうね。」
「…終わっちゃうからこそ?」
「…そ。いつ終わるかわからない瀬戸際だからこそ精一杯輝いてる。」
「…。」
「それが分かってるから、俺らもその輝きを目に焼き付けておこうって思うんじゃないかな。」
ニコッと微笑んでくれる徹くんに、笑い返すことができなかった。
…強く、儚く、脆い。それでも輝く。
たった少しの時を。
「…あ。」
「あ、紗葉ちゃん負け〜。」
私の線香花火は、誰よりもはやく輝きを消した。


