頭に手が置かれたと思ったら優しく頭を撫でてくれる彼。
「え、ちょっとなにして…」
「そんなに自分を責めないで。…自分の存在を否定しないで。
自分で自分を殺さないで…。」
さすがに恥ずかしくなって離れようとした瞬間、それを制するように耳元で彼の声が聞こえる。
「…俺は紗葉の気持ちとか辛さとか全部わかるわけじゃないけど。…全くわかんないわけじゃないから。
美由紀ちゃんは紗葉にとってすっごく大切な存在、なんでしょ?
…だったらその思い出消さなくていいじゃん。
…でも自分を責めないで。
疫病神だ、なんて言わないで。
自分がいなくなったらいいなんて、思わないで。
俺は紗葉がいてくれて嬉しかった。
そりゃあ、美由紀ちゃんのこと仕方ないよねだけじゃ片付けられないよ。
逃げずに美由紀ちゃんに立ち向かってる紗葉はすごいよ。偉いよ。
…でもさ、人間そんなに強くないんだよ。1人じゃ押し潰されちゃうよ。
我慢なんてしないで。1人で強がらないで。」
…どうしてよ。なんで、文化祭の時も今も彼は欲しい言葉をくれるの?
辛かった。美由紀のことを考える度に自分しか責められなくて。
美由紀は必要とされてるのに、私は誰にも必要とされてないんじゃないかって思って。
みんな、なんで美由紀が死んで私なんかが生きてるんだろうって思ってるんじゃないかって思って。
自分の存在を否定することしか出来なかった。


