「担任の先生の話だと、美由紀、色紙を渡すのすごく楽しみにしてたんだって。…っ、“紗葉が喜ぶ”って。すっごく嬉しそうにしてたって。
帰りの挨拶が終わった後、すぐに走って笑顔で学校を飛び出したらしいの。
…もっとゆっくりでよかったよ。
走らなくてよかったよ。
あの瞬間に、美由紀が横断歩道を渡らなかったらっ…
あの時じゃなかったら。美由紀…、生きてたのに。」
色紙は逃げないよ。普通に歩いてきても大丈夫だったよ。
「…私さ、美由紀に“ありがとう”って言えなかった。
美由紀が居て、何度も救われて、
それなのに…っ、お礼さえも出来なかった。
…私がいなかったらよかったのに。
私がいなかったら美由紀はこの病院にも来なかった。
死ぬことだって…なかったのに。
ほんと、…私、疫病神だ。
私がいるからみんなが不幸になっちゃう。
私が悪いの!私が…私が、私の存在が美由紀を殺したの!」


