「正直言って、あの頃の私には死とかよくわかんなかった。がんとかなにそれ?病気?みたいな。」
隣で少し頷きながら黙ってきいてくれる彼。
「その時はまだ治療すれば治るって言われてたし、実感とか全然なかった。死ぬってなんだろう?って。怖いとかそんなのなくて。ただ単に、よくわかんなかった。ああ、私、もしかしたら死ぬんだ?みたいな感じ。」
暗くなった窓に映る自分。
あの頃に比べればずっと大きくなった。
「…ここの病院は小児科病棟が個室がなくて、4人部屋なの。私が入院した時には3日前から入院してる女の子が1人いた。
私より1歳上だったから、…小4かな。
名前は、
…今井美由紀。」


