ある路地を曲がると
地下に向うコンクリートの階段が見える
その階段を軽い足取りで降りていく
木で出来ているドアには、
いつもなら出ているはずの札が
掛かっていない
掛かってないけど
いつものようにドアを開けて入る
普通のお客様なら
札が掛かって無かったら帰るから
ドアを引くと、鍵がかかってないから
あっさり開く
本当に不用心ね
なんて、思いながらノックもせず開ける
あたしもどうなのかしらね
いつものように入ると
カウンター席に座っている右京
いつもなら、
この数歩歩いている時点で
振り向いてたり気付いてるのに
寝てるのかしらね?
なんて思いながら右京に近づく
スースー
規則正しい呼吸が聞こえる

