「いや・・・
迷惑じゃねぇんだけど・・・
ちょっと今、人来てんだわ」


「え?あ・・・じゃあ
私帰った方がいい・・よね?」



こんな、言葉のやりとり聞いてて
そのまま居座れるほど
私も、根性は座っていないし
ずうずうしくもない。



「あの、私
もう、用事すんだので
帰りますね」


ベッドの上から
慌てて服を着ながら

そう玄関に向かって叫んだ。



すると、やはり

黒崎伸治が、こちらへ向かって来ると
私に、


「どこに帰んの?」


帰る家がないという事を知ってるから

そういう言葉が出てしまうんだろうけど、

このままでは

私は、バカみたいに自惚れて

自分だけ特別的な感覚に陥ってしまうのは目に見えてるわけで・・・


「別に友達くらいいるから。
えーと・・・
荷造りしてる間に、彼女寒いだろうから
また日を改めて
荷物取りに来るね」


そう言いながら
上着を羽織り
財布と携帯をリュックに入れると


「じゃ・・・」


「おい・・・!?」


そのまま黒埼伸治の横をすり抜け
玄関に向かう。