他人の彼氏

「あんたが、そのつもりなら
こっちだって
妹に手出した事実を
世間に公表するまでだから
その覚悟でモノ言いなさいよ？」



「おっ、今度は
脅しっスか？
あの手この手で
さすがっスね」



「・・・そう
よく、分かったわ。」


そう言いながら
立ち上がり
黒崎伸治を見下ろし
言葉を待っている。


「あれ？帰るんでしょ？」


楓さんが
怒り心頭の様子の継母に
そう言うと、


「あんた達、明日から
外歩けないと思いなさいよ？
妹を暴行した犯人として
有名になるんだからね」


「はいはい、どーぞご自由に」


「よく分かったわ！
やよい、帰るわよ」


終始うつむき
顔すら上げないまま
やよいさんは
継母に引っ張られるように
私達の元を後にした。


「あー、やっと帰った。
相変わらずムカツクつらした
ババアだな」


「ほーんと。
一生顔見なくてもいい奴なんだけどね」


そんな事を言っているけれど・・・



「もし、あの人が
本当に
ある事ない事言ったら・・？」



私は、事実じゃない事で
黒崎伸治はもちろん
楓さんも誤解されるのは
何だか・・・嫌だ・・。