「お前が、
アイツの所に帰るべきだと言うなら
俺は、ちゃんと
それを受け入れる。
希が、決めてくれ」



「・・・・・・・・」


「なぁ、どうすればいい?」



そんな話をしてる途中途中で
彼女の扉を叩く音、声が
耳に入り
その度に、黒崎伸治の体が
小さく動く。


こんな状況で
何て言えばいいのかなんて
分かってる。


分かってる・・・・。


楓さんに言われた時みたいに
ちゃんと・・・・

人の気持ちを考えて
判断しなくちゃいけない事だって


人を悲しませてまで
掴もうとする幸せなんて
望んだらいけない事だって・・・


でも・・・、


ここで、帰った方がいいなんて言ったら

もう、黒崎伸治が

私の所に戻ってこない事は

目の前の表情を見れば分かる事だ。