他人の彼氏

そんな変な兄妹の前に


「夕方にはできるんで
代車に乗っててもらって
いいスか？」



美形の部類へ入る
黒崎伸治も現れ
深く被っていた帽子をとった姿を
さっきと違い
まともに見てしまったお兄ちゃんは


「大丈夫です。はい」


変に力が入った受け答えをしてしまっている。


「そこに車出しといたんで
また、出来上がったら
電話します」


「じゃ、じゃあ
お願いします」


そう黒埼伸治と事務員さんに頭を下げると



「あとで、電話するからな」


急いだ様子で
私の頭を軽く叩くと
足早に
車に乗って走り去って行った。



「あ、南さん
ちょっと、俺
あの車しないといけないんで
希を送って行ってくれません？」


事務員さんに、
そんな事を言っているから

とっさに


「い、いいよいいよ。
歩いて帰れる距離だから」


「はいはい、というわけで
南さん　送って行って下さい」


はいはいって・・・・
かなり、軽くあしらわれた感があるんだけど。


「はい、分かりました。」



「じゃあ、希
また修理終わったら電話するから
おとなしく送ってもらえよ」



「はい・・・・」


おとなしくします・・・。